やさしいパズルを作るときに意識するとよいかもしれないこと5選

おつかれさまです。まいなすよんです。

畏友・半袖愛好会の男さんのブログの更新が、今年に入って7回を数えています(http://hansodehansode.sblo.jp/s/article/190825876.html)。当ブログはこの記事でやっと3回目の更新なので、ずいぶんと水をあけられてしまっております。

こういう時は、量より質の話に持ち込むのが常道です。今回は特に、圧倒的なオリジナリティで勝負したいと思い、この題材を選びました。だいたいこういうのは、5項目くらいに絞るのがスタイリッシュというものですよね。まあ例えば、19項目くらいに増やせば、それはそれで別の魅力が出てくると思いますが。

 

ペンシルパズル・オブ・ザ・イヤーに投票する

そういう名前のイベントがあります。

この記事を書いている時点では〆切(2024/03/26)目前なのですが、〆切目前ということは、急げばまだ間に合うということ。

2023年にニコリが発行した本に載っている、あるいは新聞等にニコリが発表したパズルたちについて、読者で推薦し感動をわかちあおう! という企画ですね。詳しくは日本が世界に誇るパズルメディア「次ニコ」の該当ページをご参照ください。(https://tsuginiko.com/20240306/9550/

「ふむふむ、興味深い企画が開催されるのは判った。で、それが、やさしいパズルとどう関係するの?」という質問もございましょう。まあまあ慌てなさんな。

パズルに限った話ではありませんが、対象が比較的明確な娯楽作品に関して重要なのは、その作意を十全に制御することです。制御するには、それの評価を使用しなければどうしようもありません。評価軸を外部に委託するというのも一つの手ではありますが、それは高等技術というやつ。やはり評価軸は自分の内部に持っていた方がいろいろと融通が利きますね。

その、自分の中に評価軸を形成する有力な情報のひとつが、自分が良いと思った、素敵だと思ったことを、言語で記述して、他の人と共有できるようにすることなのです。ほら結びついた。

なるほど良い訓練法だ、と思っても、人間とは弱いもの、「わたしの『好き』の言語化なんか、誰にも求められていないんじゃないか」「言語化が下手すぎて、作者さんの気を害してしまったらどうしよう」なんて思ってしまいますよね。そんなあなたにペンシルパズル・オブ・ザ・イヤー! あなたの『好き』の言語化は次ニコの中の人々に求められていますし、意図を汲み取ってくれるのは、パズルについて四六時中考えている専門家中の専門家ですよ!

 

②推理パズルを作ってみる

凡百のパズルブロガーなら抽象的にぼかすところですが、当ブログはぐいぐい指名していきますよ! すでに①で次ニコにゴマをする目的は達成していますし、先に19項目も挙がってるのにあと3項目どうすんのよというのを、どうにかテンションで乗り切ろうという目論見でもあります。

さて。 そもそも推理パズルはパズルそのものの魅力に加えて、題材の選択やその処理についても面白さを発揮できます。突飛な発想や語り口による「面白さ」ももちろんありますが、ごく普通の題材、処理であったとしても、そこにそこはかとない個性がにじんでくる、にじんでしまうのがまた興味深いところ。

「おうちで数独・推理パズル」誌の発刊もあり、掲載数そのものが増えているのも、チャンスの増大に寄与していると思われます。

それにさあ、考えてみてよ。

他のパズルが方眼上の表現でシンプルに作ることができるのに比べ、やや複雑なマトリックスを組むことができちゃうんだオレ、って、見当違いのプライドを鼻にかけている作家も、正直、一定数混ざっていると思うんだよね。2023年冬号の14番とか、2023年夏号の13番14番とか、2023年冬号の14番の作者とかさ。

彼らにはできない、あなたの真摯さで勝負してみませんか。

 

③他の人の作品の気になるところを見つけながら解いてみる

「パズルって面白い! どんなパズルも面白い! ちょっと面白くないところがあっても、そこが却って面白い!」 なんて考えてしまうあなた! そしてわたくし! 

パズルを楽しむ姿勢としては、とても有効なことではあります。が、ここはひとつ、自分の中に別の自分を作ってみましょう。「ここはオレだから楽しむことができるけど、あいつはどうかな?」などという点が見つかったらしめたものです。「オレは気にしないけど、ヤザワはなんて言うかな?」の精神ですね。

見つかったらしめたもの、ではあるのですが、では、それを消去したら解きやすくなるのか、面白くなるのか、を考えるのが次のステップになります。例としてニコリに掲載されている問題を考えますが、全国の猛者が投稿してきた作品をパズルの鬼たちが厳選した結果の作品たちです。簡単なキズに見えても修正は意外に難しかったり、そもそもキズではなかったりもします。正解当てではないので明確な答えに辿り着くとは限りませんが、目的をもって取り組んで、目的をもって改良することで見えてくることもありますよね。

もちろん、猛者やら鬼やらがうっかりキズを見逃すなんてことも、まま、あるというのは、ゴメンペコンコーナーの愛読者なら知っておりましょう。そんな正真正銘のキズを乗り越えたらそれはそれで収穫です。

 

④難問やジャイアントを作る余裕をみてから取り組み始める

思いついた解き筋や展開、入れたくなりますよね。ですが、やさしい問題はとてもフラジャイル。繊細なバランスの上に成立します。ここはグッと我慢して、品質の向上を優先させましょう。

腕を振るうのは、次に控えている難問やジャイアントまで待つのです。

ただ、我慢ばかりするのも精神衛生上よろしくない。「なんだよ、この問題、カンタンすぎるよ。まいなすよんももう終わったな。あ、既に10年前に終わった作家か。あっはっは」なんて心無い言葉を吐く顔が脳裏によぎったりもします。あのヤロウめ。

繊細な風味の易問と豪快な難問、どちらも最高なのに半分しか楽しめないなんて、なんておかわいそう、の心持ちで参りましょう。

 

⑤普段の生活からやさしさを心がける

つまりこういうことになりますね。。。 どこかで見たような気もしますが、「機を逃したなんて思わないで、宣伝はいつしてもいい」という格言と同様、大事なことは何度言ってもいい。

と、言葉にするのは簡単ですが、人間は弱い、これは仕方ない。いつもやさしくいられるかというと、さまざまな外部要因により、そうもいかないのが生活というものです。

自分ではどうしようもないことでやさしくなれない時でも、せめてパズルだけでも素敵なものを生み出せれば救いになるのに。と願ったとて、それは叶わぬ虚しい願いなのです。なぜなら、もてなされるべきは解き手であって、決して作者ではないからなのです。

なんてことを言っていた人もいたような気がします。さすが斯界のインフルエンサーの言葉は力強いですね。まあ、ぼくはそういう立場、とりませんけどー。